突然の出会い
ある日突然、いつもの帰り道で子猫を見つけてしまいました。子猫はこちらを見上げてめちゃくちゃ鳴いています。野良猫のような気もしますが、明らかに助けを求めているようにも感じられます。周りには誰もおらず、私一人でした。
そんな時、どうすればいいのでしょうか? 出会った初日からその翌日までに最低限やるべきことを3つ、私の経験をもとにご紹介します。
写真は、我が家で飼っているトラ男くんとの初対面の時のものです。小さい体で擁壁を一生懸命よじ登ろうとしていますが、力が足りず、その場で何度も飛び跳ねながら大きな声で鳴いていました。
その1:まずはそのまま。最短でも1時間〜2時間くらい離れて様子を見る
もしかしたら、母猫が餌を探すためにその場に子猫を置いているだけかもしれません。子猫が安全な場所にいるなら、触らずその場を離れましょう。車道に出てしまっている場合は、直接手で触れない方法を使って安全な場所へ移動させます。
待機している間に、保護するときのために備えて子猫用の餌とミルクを用意しておくといいでしょう。子猫用のアイテムは、スーパーやドラッグストアでも売っています。最安のものでいいので猫砂もお忘れなく。
その2:数時間後、そっと見に行ってみる
出会ってしまった小さな命について、あの子は大丈夫だろうかと気掛かりが続くなら、そっと様子を見に行きましょう。念のため、出かける前に保護するための準備をします。大きな段ボール箱と使い古しのタオル、または新聞紙を用意して、箱の中に敷き詰めておきます。
万が一のための準備ができたら、包んであげるためのタオルを持って出会った場所へ行きます。そこで子猫がもういなくなっていた場合は、親猫が迎えに来たか、他の誰かが保護してくれたということで安心して帰りましょう。セットした保護道具は、また次に出会う猫ちゃんのために片付けます。
そうではなく、まだ同じ場所にいて、出会った時よりも鳴き声が弱々しくなっていた場合は、覚悟を決めてすぐに保護しましょう。敷地内の屋外屋内を問わず、暖かく安全な場所に置いて、人肌程度に温めた子猫用のミルクと餌を与えます。自分で食べられないくらいの子猫の場合は、スポイドで飲ませてあげることができるのが理想ですが、無い場合はお箸の先にミルクを付けて口につけてみましょう。
その3:なるべく早いうちに動物病院へ
保護した後は、動物病院が空いている時間帯なら即病院へ行きましょう。そうでない場合は翌日に。なるべく早く診てもらいましょう。特に子猫は病気やケガのリスクが高いため、初期の段階で専門家の意見を聞くことが大切です。病院に行く前に電話で状況を説明し、診察してもらえるかと予算も確認しておくとなお安心です。
診察料は、場所や必要な処置によって異なりますが、一般的には1万円から2万円程度がお財布にあればまず大丈夫です。多くの病院ではクレジットカードや電子マネーでの支払いが可能なので、サイトがあるなら支払い情報も確認しておきましょう。
まとめ
迷子の子猫を見つけたら、状況を判断し、必要に応じて保護し、専門家に診てもらうことが大切です。子猫との出会いは予期せぬものかもしれませんが、その小さな命を救うことで、新たな家族の絆が生まれるかもしれません。
次回は、初回診察後から1週間までの様子についてお伝えします。まだまだ安心できない小さな命との暮らしはどうなってしまうのか……。お楽しみに!
おまけ:我が家の場合
子猫と出会ったのは、空がそろそろ茜色になりかけていた17時頃でした。天気は快晴。いつもの帰り道で、突然響き渡る猫の鳴き声。近くにいるようだけど姿は見えず、どこにいるのだろうと辺りを再び見渡し、ふと足元に目線を移すと、そこには大きな声で鳴いている手のひらサイズの小さな子猫がいました。小さい体で擁壁を一生懸命よじ登ろうとしているけれど、力が足りず、その場で何度も飛び跳ねていました。
「これは保護すべきか、どうすべきか?」と迷いながら、とりあえず家族にその写真を送りました。初めて見た時、私以外の家族全員が保護に否定的でした。我が家にはインコがいるのでそれは当然のこと。インコにとって猫は天敵ですから、同じ屋根の下で暮らすなんて考えられませんでした。
時は流れ、22時過ぎに半分寝かかっていましたが、激しい雨音で目が覚めました。「もしかして、子猫はまだいるかもしれない?」と心配になった夫は傘とタオルを持って外に出ました。その間、私は子猫を迎える準備に追われました。一時保護用に大きな段ボール、古いバスタオル、処分しようと思っていた器を出しました。
しばらくすると、夫がタオルにずぶ濡れの子猫を抱えて帰宅しました。鳥たちに病気が移ってはいけないので、ガレージで保護することにしました。体を拭いてもらった子猫は、ミルクを少し飲み、餌をガツガツと食べました。その頃には、ついさっきまでの豪雨が嘘のように止み、星空が広がっていました。小さな子猫は、翌朝まで命があるかどうか心配でしたが、そうなってしまった場合はそれも運命、ということでその日は就寝しました。
翌朝、子猫はちゃんと生きていましたが、周囲にはカラスがいました。子猫から見て前方斜め45度上の先にある電線で、二羽のカラスが何やら会話をしているような鳴き声を上げていました。そして、別のカラスがまた一羽、二羽と集まってきて、明らかに箱の中の子猫を狙っているようでした。まるで「あいつもうすぐ死ぬから、みんなで分けよう。いい朝食を見つけたな」と言っているように思えました。「このままではこの子は死んでしまう!」と焦った私は、家族の了承を得ることもなく、子猫を箱ごと玄関へ。玄関先に移動した子猫は、天敵からの視線がもう届かないことに安心したかのように眠りにつきました。
保護した翌朝、夫は早朝から出社済み、私も10時に得意先との打ち合わせがあったため、心配ではありましたが出社しました。打ち合わせ終了後、状況を理解してくれた上司の許可もあって早退。事前に時間外でも診てもらえると確認した動物病院へ子猫を連れて行きました。診断結果は、野良猫でほぼ間違いなく、生後約3週間と推定されました。便検査を試みましたが、便が全く腸内に腸内に付いてないことが分かり、もう何日も母猫から食事をもらっていなかったようです。血液検査は2ヶ月以降の猫が対象なので、初回の検査では行いませんでした。診察してくれた先生に「保護できて良かった」と言われ、思わず涙が。こうして、死にかけていた子猫の保護生活が始まったのです。
その子猫に後日「トラ男」という名前がつくのですが、その話はまた別の記事でお話しします。
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